映画『インターステラー』のセリフで学ぶ英語表現「仲直りしたい」

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『インターステラー』(2014年アメリカ・イギリス映画)
原題:Interstellar
監督:クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)
主な出演俳優:マシュー・マコノヒー(Matthew McConaughey)、アン・ハサウェイ(Anne Hathaway)、ジェシカ・チャステイン(Jessica Chastain)、マイケル・ケイン(Michael Caine)、ジョン・リスゴー(John Lithgow)、マット・デイモン(Matt Damon)
あらすじ
近未来の地球。人類は度重なる異常気象により深刻な食糧不足に見舞われ、滅亡の危機に瀕していた。元宇宙飛行士でエンジニアのクーパーは、年老いた義父、15歳の息子トム、10歳の娘マーフと共にコーン畑を営み暮らしている。マーフは自分の部屋の本棚から本が勝手に落ちる現象を幽霊のせいだと信じていたが、ひどい砂嵐の起きたある日、床に舞い落ちる砂の様子を見てクーパーはそれが二進数で表された座標であることに気付く。その座標へクーパーとマーフが向かってみると、そこには大昔に解体されたのち秘密裏に活動を再開していた NASA の極秘施設があった。何者かによって土星の近くに創り出されたワームホールを通り抜けて、太陽系外の宇宙に居住可能な惑星を探査する計画を続けていたのだという。

fix | 修復する(人間関係にも使われる)

人類の移住先となり得る惑星を探すミッションに参加することを決意したクーパー。

しかし帰還の可能性も時期も全く不明なミッションに、10歳の娘マーフは猛反対。

自室にこもりベッドでふさぎこむマーフの背中に寄り添いクーパーが優しい声で説得を試みます。

COOPER | クーパー

You have to talk to me, Murph.
I need to fix this before I go.

俺と話をしてくれ、マーフ。
行く前に仲直りしたい。

これに対するマーフの返事はちょっぴり独特です。それが次のセリフ。

MURPH | マーフ

Then I’ll keep it broken so you have to stay.

じゃあ行けなくなるよう仲直りしないままでいる。
単語と表現
  • fix this
    this(これ)はここではそれ以前の経緯を踏まえて「壊れた二人の関係」を指します。これを fix (修復)するから「仲直りする」という意味になるわけです。
  • keep it broken
    それ(ここでは「二人の関係」)を壊れたままにしておく

どうでしょう?

クーパーが「行く前に仲直りしたい」と言ったのは、「行く」という決意は変わらないけれど、それについて娘の理解を得てから行きたい、つまり、「行くし、かつ、仲直りしたい」という趣旨だったはずです。

しかしマーフの返事は、この「行く前に」という部分の言葉尻をとらえたものになっています。「行く前に仲直りしたい」ということは裏を返せば「仲直りするまでは行かない」ということだと曲解し、それならば「仲直りしない」状態を維持することによって「行く」という結果の発生を永遠に先延ばしできるはずだ、という思考がうかがえます。

論理的と言えば論理的であり、相手の言葉を利用してとっさにこのように切り返せるのは頭の回転も速いと言え、父親から受け継いだエンジニア気質のようなものがこのセリフからは垣間見えます。

それと同時に、遠くへ行こうとする父親をとにかくもあらゆる理屈で引きとめたいと願う切実さが、この独特のセリフ回しに上手く表れているシーンだと筆者は感じました。

ちなみに、「仲直りする」という英語表現としては、make it up with ~ などもあり、そちらのほうが一般的かもしれません。しかし、ここでは fix(修復する)と broken(壊れた)という対になる表現を使うことで、より省力的でリズミカルなセリフの応酬が生み出されていると言え、その点からも味わい深いシーンとして評価したいところです。

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