映画『ディスタービア』のセリフで学ぶ英語表現/「見当もつかない」

双眼鏡

『ディスタービア』(2007年アメリカ映画)
原題:Disturbia
監督:D・J・カルーソー(D.J. Caruso)
主な出演俳優:シャイア・ラブーフ(Shia LaBeouf)、サラ・ローマー(Sarah Roemer)、キャリー=アン・モス(Carrie-Anne Moss)、デヴィッド・モース(David Morse)、アーロン・ヨー(Aaron Yoo)

あらすじ

交通事故で父親を亡くしたケールは、ある日学校で教師を殴ってしまい3か月間の自宅軟禁処分を裁判所から言い渡される。右足首に居場所を監視するためのGPS装置を取り付けられ自宅の半径約30メートル以内から出られなくなった彼は、暇つぶしに窓から近隣住民の生活を覗きながら過ごすうち、隣人の一人であるターナーが行方不明事件の犯人ではないかと疑い始める…。

have no idea | 見当もつかない

ダイアログ|DIALOGUE


ゲームをしたりテレビを観たりしてダラダラと過ごすケール。

母親から自宅軟禁は休暇ではないと諭され、オンラインゲームも解約されてしまいます。

ますますやることがなくなったケールが、夏休みを満喫中の親友ロニーに電話で愚痴を一気にまくしたてるシーンです。

KALE | ケール

Ronnie, you have no idea how much this thing itches.

ロニー、お前には これがどれだけ かゆくなる代物か見当もつかないだろう。

KALE | ケール

Plus, my mother transformed.
She’s a dictator now, like the warden from Shawshank.

それどころか、ママはすっかり人が変わっちまった。
今や「ショーシャンクの空に」の刑務所長さながらの暴君さ。

KALE | ケール

And she took my Xbox.
And my iTunes are gone, right?

ゲームも解約された。
アイチューンズもだぞ、分かるか?

KALE | ケール

And I can’t go anywhere.
I’m losing it.
I’m losing my mind.

それでいて どこにも行けないんだ。
変になりそうだ。
気が変になりそうだよ。


単語と表現

have no idea

見当もつかない
You have no idea how much ~ と自分以外を主語にすることで、「他人には想像もつかないほど程度が著しいさま」を表わしています。

itch

かゆい
このセリフでは主語が ankle(足首)ではなく this thing (ここでは「足首に取り付けたGPS装置」を指します)となっているため、「かゆみを生じさせる」という他動詞として働いています。

Plus

その上、加えて
話し言葉ではこのように接続詞としても用いられ、And よりも強調されたニュアンスがあります。

transform

(すっかり)変わる、変える
change に比べ変化が劇的であるニュアンスがあります。
ちなみに、ケールを演じるシャイア・ラブーフがちょうど本作と同年に公開された映画『トランスフォーマー』(Transformers)でブレイクを果たしたことを考えると、彼の口からこの単語を聞くとちょっとした可笑しさを覚えるところでもあります。

dictator

独裁者、専制君主、暴君

warden

刑務所長

Shawshank

= The Shawshank Redemption:1994年公開のアメリカ映画『ショーシャンクの空に』(またはその原作となる小説)を指します。

I’m losing my mind.

lose one’s mind で「(気が)狂う/変になる」「(頭が)おかしくなる」